2014年
2013年
2012年
2009年
2008年
2007年
2005年
2004年
その他
指導者・カテゴリ別

現場レポート

イギリス・ロンドンへ
音の回想法(メモリーサウンド・ゲーム)の可能性を訪ねる旅
~回想することは、クリエイティブなこと~

谷角 慶子
 回想法センター入口 回想法は英語でリミィニセンス

 2005年9月、イギリス回想法センターでの研修に参加させていただきました。受講前は「回想法とは、お年寄りが過去を振り返ることで認知症予防に効果のある療法だ」との認識を持っていましたが、受講して、広い意味を持ったセラピーであることを知りました。

「過去を振り返る(回想する)作業はクリエイティブなこと」

 研修で回想法を体験し、意外にも回想することは面白いし、他の人とコミュニケーションを取りながら回想することは更に面白い!ということを実感しました。プログラムの一つに、ある物(日常にあるもの、例えば、スプーン、カメラ、写真etc)から各自思い起こされる記憶を語っていくというものがありました。ある物からそれにちなんだ記憶が鮮明に蘇ってくることが、意外にも驚きでした。また他の人の記憶であっても、それに自分の記憶がリンクすると、そこから思い出が発展していきました。過去からのメッセージを今の自分が再現してあげると、未来へ新しいものが作りだされる(クリエイティブな状態になる)と思いました。

「回想法はどの世代もが対象者になる」

 回想法の先生・スタッフと記念撮影

 生きている限り、記憶は一日一日蓄積されていきます。それは子供であっても同じことです。回想法は、対象がお年寄りだけではなく、子供や若者にも効果的だと知りました。子供に自分の過去を知る機会を与えてやれば、心の癒しができ、自分のルーツを知る手がかりが見出せ、より自分を認識できるのではないかと思いました。

 実際、イギリスではお年よりが、自分たちの思い出にちなんだ絵画などを子供たちに製作させ、当時の記憶やアドバイスを子供に伝えながら、世代間の交流を図ろうとする試みがなされています。

ともすれば交流が途絶えがちなお年寄りと若者との交流を、アートを媒体として用いることは、大切なことです。

 お年寄りは自分の過去を伝える相手がいる喜びを持ち、また子供たちは自分の先輩の記憶を自分たちのフィルターを通した再現ができる喜びを持つでしょう。作品創作はもちろんのこと、両者のこころの深まりもクリエイティブな状態に発展させることができると思います。またこうした記憶からの世代間の交流や、若者を対象にした回想法分野が、今後注目されそうです。

イヤーゲームとのつながり

 センターのシルバーボランティア

 記憶を蘇らせるきっかけは、音から・においから・視覚から・感触から・味覚から、つまり五感の一部から始まります。五感を触発させることで、さらに記憶の蘇りが深まっていくのだと思います。つまり、イヤーゲームの大事にしている五感を使って表現する精神と回想法との共通点を感じますし、回想法は記憶を思い出すだけではなくて、それを何らかの形として再現表現するという所や、一人ひとりの考え感じたことを尊重している精神にも共通点があると思いました。

ご意見ご感想はこちら