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現場レポート

わたしの思い出の音風景
~思春期の心の解放と自己再発見のための創作活動

「この1年間で自分にとっての本当に心地よい音を見つけ、その音の本質を探究しよう。それを表現に活かそう」をテーマに掲げて、高校1年・音楽選択生を対象に、メモリー・サウンド・ゲーム「私の思い出の音風景」創作へと発展させていく。創作条件として、既製の楽器にとらわれず、手創り音具使用〈奨励〉、拍子・調・音符にこだわらない、図形楽譜(色彩表現)、五線譜等自由で、自分の表記法を用いる、1分~1分30秒程度の長さ、楽しんで創る、を設定した。生徒は、初めは戸惑うが、ほぼ1時間目に描写が終わり、音具・既成の楽器で遊び始める。ここで、なかなかテーマを見つけられない生徒もいる(思い出なんか無い。音楽とはこういうものと考えている生徒に多い)。

テーマから

 全体に自然と係わるものが一番多いが、単なる自然描写ではなく自分の感情をも取り入れ、創作中から癒されている。辛く悲しい内容のものは発表時泣き出すこともあるが、この創作によって辛さを乗り越え解放されていく。

楽器・音具から

 一番人気はレインスティック・親指ピアノ。安らぐ音・イメージしやすい音のレインスティックはさまざまな表現に使いい分けられている。心地よい響きの親指ピアノも好評。ピアノは扱い方で多種多彩な表現が可能なこと、音具として扱い(ピアノが弾けない生徒)他との共用が結構ある。

色(図形楽譜)から

 音とは違った心に及ぼす色の作用の大きさが見える。

まとめ

 メモリー・サウンド・ゲームに取り組み始めて8年がたった。毎年160人ほどの生徒の音世界を独り占めして楽しませてもらっている。創作過程で毎回の添削作業は大変だが、今までこの課題の未完成者は出ていない。この創作が、能動的な鑑賞や他の音楽表現に活かされることは間違いない。生徒自身が自己を良く見つめるようになれることも嬉しい。自分の記憶を音にするのは難しいが、その音が出せたら音は人の心を自在に操り、楽しませてくれることを実感した。また、勉強勉強の毎日だったが、小学校の楽しかった思い出を何回も甦らせる事で、ほんとにワクワク、ウキウキしてきて楽しくなった。そして、それは、今の生活も頑張ろうという励みにもなった。このテーマをして良かった!

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